旅の記録

旅ブログです。

20180820 第100回全国高校野球選手権記念準決勝 済美×大阪桐蔭観戦記

 

f:id:togesohei:20190220132135j:plain

2018年8月20日午後0時20分。阪神甲子園球場は準決勝第一試合の熱狂冷めやらぬ中、次の第二試合に向けて大阪桐蔭がノックを始めているところです。私としても、次の第二試合があくまで本日の本番。先程の試合はあくまで 前座であって、次の大阪桐蔭×済美のゲームを見たくてここまで来たのですから、緊張した面持ちで試合開始のときを待ちます。

 

f:id:togesohei:20190220132218j:plain

三塁側ブルペンでは、本日の大阪桐蔭の先発である柿木蓮が投球練習を始めていました。その隣では、大阪桐蔭西谷浩一監督がどっしり構えながら柿木の状態を確認しています。

 

f:id:togesohei:20190221112451j:plain

両校のノックが終わり、試合開始まであと10分となりました。天候は午前中に引き続き快晴。球場内もこの観客の入りです。

 

f:id:togesohei:20190221112912j:plain

両チームのオーダーはご覧のとおり。先攻となった済美(愛媛)はエースの山口直が再び先発のマウンドへ。一方の大阪桐蔭は柿木が先発ということで、ファーストに石川、サードに中川、ショートに根尾が入るという守備陣形。

 

f:id:togesohei:20190221122318j:plain

試合開始前、一塁側アルプスに向かって挨拶する済美の選手たち。済美は今大会、下馬評はそこまで高いというわけではありませんでしたが、いざ大会が始まってみると二回戦で星稜(石川)を相手に6点差を追い付き、さらに延長13回タイブレークから逆転サヨナラ満塁ホームランを決めるという劇的な勝ち方を見せると、三回戦では勢いに乗る高知商、準々決勝ではプロ注目ショートである小園擁する報徳学園(東兵庫)を相次いで撃破し、あれよあれよという間にベスト4まで進出してきました。果たして本日も大阪桐蔭を相手に番狂わせを起こせるか。

 

さて、そうして試合開始まであと目前と迫ってきたところで、私、あるとんでもないアクシデントに見舞われてしまいました。何と、昨日買ったばかりのNikon COOLPIX A900の充電が、もう切れてしまったのです!

こういうデジカメって、てっきり半日ぐらい持つものかと思っていたのですが…。お陰で甲子園に乗り込んでから片っ端から写真を撮っていたら、まさかこんなに早く充電が切れるとは思ってもいませんでした…。しかも本命の試合が始まる直前で!

何てツイていないんだろうと思う反面、この時の私にはモバイルバッテリーや予備バッテリーを準備しておくという考えがそもそも全くなかったので、もはや成す術がありませんでした。仕方なく以降の写真は従来どおり、スマホのカメラ機能で代替することとしましたが、スマホだとどうしても悲しいぐらいズームしても拡大しないんですよね…。

 

f:id:togesohei:20190221165407j:plain

そうこうして私がパニクっている間に、両校の選手たちは整列して、一礼。 こういう風景なら、スマホでもまだ何とか画になりますが…。

 

f:id:togesohei:20190221180321j:plain

プレーボール前の投球練習を行う柿木。こうなってくると、もう全く画になっていません。これがスマホの精一杯…。

 

f:id:togesohei:20190221180647j:plain

こちらは大阪桐蔭の内野陣で、上から山田、根尾、中川。三人とも一年生の頃からレギュラーを張っている逸材であるにも関わらず、こんなに小さな姿しか捉えられないなんて、何とも悲しい…。

 

さて、そんなこんなでテンションただ下がりな状態の中、マウンドでは本日二度目のレジェンド始球式が行われました。第二試合に登場したレジェンドは、東北高校OBで後に横浜やマリナーズで抑え投手として活躍した「大魔人」こと佐々木主浩氏です。

佐々木氏は第一試合で登場した桑田氏と同学年という理由で登場したのでしょうが、実際のところは「もう一人のK」こと清原和博氏を高野連としては呼んでみたかったのではないでしょうか。しかし、甲子園歴史館と同様、世間的には彼はまだ許されていないということか…。

 

そしてレジェンド始球式が終わり、いよいよ試合開始です。この試合、先制したのは済美でした。2回表、無死一・二塁から6番・山口直がライト前ヒットを放ち1点を先制。

一方、大阪桐蔭としてはこれが今大会三度目の先制を許す展開なので、特に焦ることもなく、4回裏、一死二・三塁から7番・山田のレフト前ヒットで同点に追い付きます。さらに一・三塁の場面からパスボールで三塁走者が帰り勝ち越しに成功。

しかし、負けじと済美も5回表、一死一塁から3番・芦谷の打席でヒットエンドランを敢行すると、打球は三塁へのゴロとなり、サード・中川が一塁へ送球。すると、その間に一塁走者の矢野が二塁を蹴って三塁へ進み、送球捕ったファースト・石川はすぐさま三塁へ送球。しかし、その送球が右に大きく逸れてしまい、走者・矢野は一気にホームへ生還。済美、見事な脚を使った作戦に相手のミスも重なり、すぐさま同点に追い付きました。

 

5回裏

そうしてスコア2-2の状態で迎えた5回裏、大阪桐蔭の攻撃。先頭バッターはトップに帰って1番・宮崎。宮崎はここまで2打数2安打と当たっているのですが、この打席でもサード強襲の内野安打を放ち、三打席連続のヒットで出塁します。

続く2番・青地は強攻策に出て、打球は二遊間を抜けるセンター前ヒット。無死一・二塁と勝ち越しのチャンスを作り、ここで打席には3番・キャプテンの中川が入りました。

と、ここで中川は送りバントの構え。初球、中川しっかりと転がしましたが、ボールを処理したピッチャーの山口直は三塁へ送球。判定はアウトとなり、山口の見事な好フィールディングで送りバントは失敗に終わりました。一死一・二塁の状態で、バッターは4番・藤原を迎えます。

 

f:id:togesohei:20190223103119j:plain

前の試合、対浦和学院戦では5打数4安打4適時打2本塁打5打点と大当たりだった藤原。その物凄い打棒に、テレビで見ていた私は一気に彼のプレー虜になってしまいました。しかし、今はその打席をスマホで捉えようとしても、このズームが限界とはただただ残念…。

さて、藤原の本日の成績はここまで2打席1安打1四球という内容でしたが、この第3打席は0-2から外角一杯にスライダーが決まり、見逃しの三振。藤原としては意表を突かれて手が出なかったという感じで、ここは済美バッテリーの作戦勝ちだったと言っていいでしょう。

 

f:id:togesohei:20190223103204j:plain

しかし、済美としては続く5番の根尾も全く気が抜けません。言うまでもなく今大会最注目の選手の一人。その根尾の第3打席は、3-1から直球が外角に外れ、フォアボール。二死満塁となり、打席には6番・ファーストの石川が入りました。

石川はここまで打率1割台と当たってこそいませんが、前の試合では最後にホームランを放つなど、徐々に勢いを取り戻してきている選手です。ただ、前の回では痛恨のタイムリーエラーを犯しているだけに、その雪辱なるか。

石川は高めの球を捉えると、打球は詰まりながらもしぶとくショートの頭の上を越えました。結果はセンター前ヒットとなり、走者は二塁の青地までが生還。これでスコア4-2となり、大阪桐蔭すぐさま勝ち越しに成功しました。

 

 f:id:togesohei:20190223121051j:plain

そして続くは、先程の打席で同点となるタイムリーヒットを放っっている7番の山田。その山田に対する初球、済美のキャッチャー・芦谷がボールをはじいてしまい、その間に二塁走者は三塁へと進みます。

 

f:id:togesohei:20190223103443j:plain

二死一・三塁となり、山田の打球はサード右へのゴロ。しかし、ここでサードの池内が打球をこぼしてしまい、この間に三塁ランナーがホームイン。済美、立て続けに守備のミスが出てしまい、5-2と差を広げられてしまいました。

続く8番・小泉にも、ストライクが入らず四球で出塁を許します。再び二死満塁となったところで、ラストバッターの柿木の当たりはボテボテのショートゴロ。何とか送球は間に合い3アウトチェンジとなりましたが、この回、あっという間に大阪桐蔭が3点をリードして前半戦を終えました。

 

6回裏

後半戦に入り、6回表の済美の攻撃は無得点。その裏の大阪桐蔭の攻撃も、1番・宮崎から始まる好打順でしたが、宮崎サードフライ、青地ライトフライと倒れて、二死無走者。

 

f:id:togesohei:20190223103556j:plain

3番・中川も初球を打ち上げてレフトフライに倒れ、大阪桐蔭、この回の攻撃は三者凡退に終わりました。

 

7回裏

 

f:id:togesohei:20190223103737j:plain

7回表済美の攻撃も三者凡退。その裏、大阪桐蔭の攻撃は4番・藤原から。藤原は低めの球に手が出てファーストゴロに終わりましたが、続く根尾はしっかりとボールを捉えて、打球はセンター前に運ばれました。根尾、この日2本目のヒットで、走者が出塁です。

 

f:id:togesohei:20190223103825j:plain

f:id:togesohei:20190223103857j:plain

続くバッターの石川も、先程の打席の勢いそのままに三遊間を抜けるレフト前ヒットで、一死一・二塁とチャンスを広げます。そして次のバッターも、本日タイムリーを放っている好調・山田。その初球、山田の打球は二遊間抜けそうな当たりでしたが、これを済美のセカンド・矢野がよく捕って4-3の併殺成功。3アウトとなり、大阪桐蔭、追加点のチャンスを逃しました。

 

9回表

 

f:id:togesohei:20190223103948j:plain

8回は両チームとも得点圏へランナーを進めたものの、無得点。そして試合はいよいよ最終回、済美最後の攻撃がやって来ました。

先頭バッターは7番・一年生の山田から。山田の打球はライト方向へかなり右に流されたフライになったものの、青地がファールグラウンド上でしっかりと捕んで、まず1アウト。続く8番の宇佐川は見逃しの三振。2アウトとなりあと一人となったところで、打席に入ったのはラストバッターの政吉。

 

f:id:togesohei:20190223104022j:plain

政吉は9番バッターではありますが、ここまでの打率は4割を数え、特に二回戦の星稜戦では6点差を覆す3ランホームランを放っているなど、済美四強進出の立役者の一人です。今日も第1打席でヒットを放っていますが、この土壇場の場面でも一二塁間を破るライト前ヒットを放ち、その実力を見せつけました。

 

f:id:togesohei:20190223104102j:plainf:id:togesohei:20190223104213j:plain

そして続くはトップに帰って、1番の矢野。この矢野も今大会好調で、同じく二回戦の星稜戦では史上初となる逆転サヨナラ満塁ホームランを放った張本人です。今日はヒットこそ出ていませんが、5回表に相手の悪送球を誘う好走塁を見せています。

……しかし、最後はここまでマウンドを守り続けた大阪桐蔭の先発・柿木が上回りました。柿木の155球目、矢野の打球は詰まったセカンドゴロとなり、試合終了。5-2で、大阪桐蔭が今年の春の選抜に続く連覇に王手をかけました。

 

f:id:togesohei:20190223104253j:plain

ゲームセットが宣告され、大いに沸く三塁側アルプススタンド。

 

f:id:togesohei:20190223104413j:plainf:id:togesohei:20190223104436j:plain

両チームの選手が整列し、挨拶。勝利した大阪桐蔭の校歌斉唱が行われました。ちなみに、大阪桐蔭が明日の決勝も勝って春夏連覇を成し遂げれば、これは藤浪(現阪神)、森(現西武)を擁して春夏連覇を達成した2012年以来6年ぶり2度目のこととなり、これは高校野球史上初の快挙となります。一方で、対する金足農が勝てば、こちらは秋田県史上初、そして東北勢としても初となる全国優勝となります。

どちらが勝っても歴史的な快挙が見られる明日の一戦。まさに100回目の夏の決勝に相応しいカードとなったことに胸を高鳴らせながら、一路帰途に着きました。

 

続く